元銀行員が考える 資金繰りに苦労する会社は目先の金利だけ見ているからかもしれませんよ

会社をつくるのはかんたんです。

株式会社であれば20万円、合同会社であれば10万円くらい税金をはらえばすぐに会社をつくれます。

すぐにあなたも社長になれるのです。

だけど会社はつくったあと、維持するのが大変。

全国で黒字の会社は約30%くらいしかいなく半分以上は赤字なんです。(あえて赤字の会社ももちろん含みます)

会社がつぶれる、立ち行かなくなる理由はさまざま。

そのなかで多い理由のひとつとして借金を返済するお金がなくなりつぶれることです。

 

目次

借金を返済できなくて会社はつぶれる

会社をたちあげるとき自分のお金だけでは足りないから、銀行からお金を借りるということはよくあること。

ちなみに僕も事務所開業の際にお金を借りてみました。(銀行の立場でお金を貸したり、クライアントの立場で資金調達の支援はよくやっているのですが実際に借りるひとの立場にたってみるとどうなのかなという経験のため。あらためて借りてみると書類の用意がめんどうですね笑 パッと借りれて、かつ金利も安い!というものはないんでしょうかね。)

お金を借りるということはお金を返さなければいけません。借りたものは返す。これとは別に助成金、補助金というものは返さなくてもよいお金になります。銀行からのお金は返す、国や行政からのお金は返さなくてもよい、という区別がわかりやすいかも。(もちろん例外はありますよ!)

借りたお金は使うから借ります。

使ったら当然お金はなくなります。

でも返済は使ったあとにしなければならないのです。

そうすると、売上、利益を残し、お金を残して、その残ったお金を返済するためのお金として用意しなければなりません。

売上、利益がなく、お金が残っていなければ借りたお金を返済することができません。

借りたお金を返済できなければ銀行は口座を差し押さえ、口座からの支払いをできなくするのです。またさらに財産の差し押さえなどもおこないます。

今の世の中、銀行口座がなく現金の取引だけでは事業を大きくする、事業を継続することも難しくなってきています。

(以前銀行員時代、銀行取引停止になり口座が使えなくなったお客様が事業を続けていましたが、数ヶ月でやはり倒産までいたりました。少しの間は銀行はなくても大丈夫ですが、継続するのは難しいです。。。)

借りたお金を返せないのは売上、利益がないからというだけではありません。

売上、利益があったとしてもその借りたお金をどう返す予定かをわかっていないと返すお金を用意できなくなることもあるのです。利益は出てちゃんと毎年黒字なのに借金を返すのがやっと、、、なぜかお金がたまっていかない、、、というひともいるのです。(それも少数ではなく、けっこう多くのひとが。)

そのひとつの理由としては返済条件などをよく見ずに金利だけ安いからといってお金を借りていることがあります。

たとえば5,000万円借りるとします。

A銀行からは2%の金利で10年かけて返済して良いという条件がでました。

B銀行からはなんと1%の金利で借りれることに! でも5年かけて返済しなければならないという条件です。

利息の負担だけでいうと、A銀行は1年間で利息は100万円(5,000万円×2%)、B銀行は1年間で利息は50万円(5,000万円×1%)なのでB銀行で借りた方が50万円/年も安い! これだけみればB銀行で借りるべき。

でも元本の返済を含めると、、、A銀行は1年間で600万円(元本500万円+利息100万円)、B銀行は1年間で1,050万円(元本1,000万円+利息50万円)であり、なんとA銀行の方が450万円も少ないのです。(元金均等返済、返済により利息額が逓減していくことなど細かいところはしょうりゃくします)

売上、利益が安定しており、毎年確実にお金が残る!という会社であればB銀行で金利が安い借り入れをして、返済しきったらまた銀行から借りる、という手が使えるでしょう。

しかし売上、利益がつねに変わり確実にお金が残る!といいきれない中小企業であれば業績がいっきに悪くなって銀行からまた借りることができなくなってしまう可能性があります。

とすると、元本の返済もふくめてできる限りお金が出ていかないような返済条件で借りるべきです。

金利が1%あがったところで会社はつぶれません。利息では会社はつぶれない。

借りたお金の元本が返済できないからつぶれるのです。

目先の金利の安さにとらわれないようにしましょう。

(運転資金や設備資金という資金使途によって返済条件などもかわってきます。設備資金の方が長く借りれたりします。いかに設備資金にできるかを考えることも大切です。)

 

元本の返済は経費になるのか

ここでよく聞かれる質問のひとつにお答えします。

よく聞かれる質問で「借りたお金の元本は経費になりますか?」というものです。

こたえは、「経費になりません」。

理由としてはお金を借りたときに利益になっていないからです。

もちろんお金を借りて、借りた以上に払う利息というものは経費になります。

この考えと似ているものは保険ですね。

保険も払って経費になって、保険を解約して戻ってくるさい、利益になるのです。 保険が課税の繰り延べといわれるのはそういう理由。税金を払うのをいまではなく、しょうらいに延ばすという意味になります。

お金を借りるというのは相手のお金を預かっているということ。あなたのお金ではありません。

預かっているだけでは利益になりませんよね。

その預かっているお金を返すのが返済になります。

預かっているものをただ返すだけなので経費にならないのです。

(ミニ知識として、銀行からお金を借りるとき「金銭消費貸借契約書」というものを結びます。ここで消費と入っているのがポイント。借金は相手のお金を預りますが、使うので相手のお金がなくなります、消費するのです。相手から借りた(預かった)お金をそのまま返すわけではないので、消費という言葉がついています。同額の金銭を返すますよ、というお約束をした契約書なんです。)

 

利益だけではなくその先まで考えることが必要

借りたお金の元本は経費にならない。

それはお伝えしました。

そうなるととても大事なことがあります。

それは利益だけではなく、利益の先のお金の流れまで考えることが必要ということです。

経費になるのなら利益を残していくことに意識を向けていけば良いでしょう。

でも借りたお金の元本は経費にならないのです。

経費にならないということは税理士が渡してくる売上や利益が書かれている損益計算書(P/L)には載ってきません。

その損益計算書の末尾にある「当期利益」からまかなわなければならないのが借りたお金の元本返済になります。

利益ではなく、お金の流れが重要なんです。

ここがわかっていないと、利益が出ているのに、お金が残っていない、、、という状況におちいります。

当然です。

利益とお金の流れは一致していないため、利益だけ見ていてはお金が残っていかないのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

図で説明すると上記違いになります。

利益と手元に残るお金は違います。

お金は出ていくけれど経費にならないものがある、ということが利益と手元に残るお金を合わせにくくする理由です。 借りたお金の元本返済部分についてもその代表的なもの。(ほかにもあります)

利益だけでは会社は続きません。お金を回し続けなければならないのです。

なので利益だけではなく、その先のお金の流れまで意識して経営をする必要があります。

 

【編集後記】

せんじつ、クライアントの会社の司会を行いました。

内容は来年以降の戦略を考えることです。

意識したのは、アイデアを出す時間とアイデアを検討する時間をわけること。

あるアイデアをだしても否定的な意見でつぶすと、そのあるアイデアを聞いて他の人がもっと良いアイデアが思い浮かぶ積み石効果、というものがでてこなくなります。

アイデアを出す時間はとにかく意見を出し続け、質問をなげかけ、安心安全ポジティブな場を作ること。

そのための司会として場の空気感を大切にしました。

社長が司会をやると社長に遠慮して意見が出てこなかったり、社長が意見をつぶしたりということがあります。

それを第三者が司会をやることで良い場を作り、良い意見をまとめることもできるのです。

 

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