年金がいつのまにか減る恐怖。。。生涯現役経営者は必須でチェック!

73歳の経営者の方からご相談がありました。

年金が満額もらえていない
どうにかならないのか

というもの

その方は御歳70を超えているけれどまだまだ現役の経営者です。
そのため給料も同世代の人に比べるととても高額…

なぜ頑張って働いている人が年金が下がるのでしょうか。
なにか良い方法はあるのでしょうか。

目次

もらえる年金はどんな種類があるの?

そもそももらえる年金はどんな種類があるんでしょうか。

実はもらえる年金の種類は大きく3つだけとなります。

あれだけ消えた年金とか、年金未払いが多く支払い損になるんじゃないかと言われていますが。。。

 

一つ目は、国民年金です

国民年金とは、日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人全員が支払い、

もらうことができるものです。

主な対象者は自営業や学生などです。

 

国民という名前が付いていますが、日本国民(日本国籍を持っている人)だけではなく、

日本に住んでいる外国人(日本国籍を持っていない人)も支払う義務があり、条件を満たせば

日本から年金をもらうことができます。

 

以前は年金をもらえる条件は25年以上支払わなければなりませんでした。

その条件だと、そこまで長く日本にいる可能性がない外国人の方や

今まで年金が未納であり25年後だと生きている保証がない方などは

年金を支払っただけで年金をもらえることができない掛け捨ての損になってしまうため、

支払う人が少なかったのが現状です。

 

しかし平成29年8月より25年の条件が10年へと短縮になったことにより

掛け捨ての損になる方が少なくなっています。

(なお外国人の方だと、諸外国との社会保障協定、任意脱退や脱退一時金制度などにより掛け捨ての損とできる限りならないような対策は取られています。)

 

二つ目は、厚生年金です

厚生年金は厚生年金保険の適用を受ける会社に勤めている人全員が加入し、支払い

もらうことができる年金です。

主な対象はサラリーマンとなります。

 

この年金は次の三つ目の年金と同じく国民年金に上乗せされる年金であり

よく二階建て部分と呼ばれます。

図で表すとこんな感じです。

もらえる金額が上乗せされ多くなるということは支払う金額も上乗せされるということです。

支払う金額はそれぞれ国民年金は16,490円/月(平成29年)

厚生年金は給与に9.15%(平成29年12月現在)を乗じた金額です。

例えば給与が30万円の人の厚生年金の支払いは27,450円/月にもなるのです。

もらえる金額も高いですが、支払う金額も高いですよねー

 

三つ目は、共済年金です

共済年金は、公務員や私立学校の教職員が加入し、支払い、もらうことができる年金です。

よく公務員は年金も恵まれているから安定して良い職業だと言われています。

でも年金の構造上は上でも記載した通り、厚生年金と一緒で国民年金の上にある二階建て部分しか

ありません。

 

実は共済年金には3階建部分の職域加算と呼ばれるものがありました。

しかも保険料率も厚生年金よりも低い料率となっており、官民の差がありました。

 

しかし平成27年に厚生年金と共済年金の一元化が行われるようになり

職域加算の廃止、保険料率の統合等が行われ、徐々に官民の差がなくなるとは言われています。

 

現役経営者の年金ってどうなったら減るの?

さて本題の現役経営者の年金はどうなったら減るのでしょうか。

 

まず、全員が加入義務があり、支払っている国民年金については減額はありません。

減額があるのは二階建て部分である厚生年金部分です。

自営業者の人よりもせっかく多くの年金を支払ってきたのに

減額されてその上乗せ分がもらえなくなることはショックです。。。

 

減額される金額は60〜64歳の場合と65歳以上の場合の2種類あります。

 

60〜64歳

年間もらっている厚生年金と会社からもらっている給料の合計額により減額される金額が決まります。

月ベースに直した厚生年金と給料の金額(賞与をもらっているなら1年間の賞与の金額÷12の金額

も加算)の合計額が28万円以下ならセーフです!

年金は減額されません!

やりましたね!

 

でも28万円を超えてしまうのなら減額があります。。。

簡単にいうと超えた金額の1/2の金額が年金からマイナスされてしまうのです。

 

例でいうと、

年金が毎月10万円、月額の給料が60万円(賞与なし)であると、

10万円+60万円=(70万円ー28万円)÷1/2=21万円の年金マイナスとなり、

年金が毎月10万円なので、10万円ー21万円<0円なので年金がゼロ円となるのです。。。

 

65歳以上

65歳以上の場合は上で記載した28万円という金額が46万円となります。
(46万円というのは平成29年12月現在です。この金額はころころ変わるのです。。。)

この場合月にもらえる年金が10万円ならば、月額の給料が約55万円以上ならば年金がゼロ円となる計算です。

月額の給料が55万円というのは、年収に直すと660万円、、、

普通に会社を経営している経営者ならその金額をこえている方も多いでしょう。

 

 

年金が減額されない方法があるのか?

せっかく支払ったのだからもらえるものはもらっておきたいという気持ちは十分わかります。

それでは減額されない方法はあるのでしょうか。

 

まずすぐに思いつく方法としては、減額されない金額の月額給料とすることです。

そうすれば年金をフルでもらえることができます。

しかし、月の年金が10万円だと月額の給料は約55万円ももらえません。
(55万円以下で抑えても、算式に当てはめると一部減額となってしまう金額設定になるかもしれません)

しかも残念なことに、この全額なり一部なり支給されなかった年金は

今支給されないだけで後から給料が低くなったら遡って支給される、というものではなく、

永遠と支給されなくなる、切り捨てられてしまう部分なのです。

 

もう一つの減額されない方法として考えられるのは、賞与を利用して給料を支払うというものです。

この方法は社会保険料の減額策として使われているものを準用するやり方です。

というのも社会保険料には上限が決められており、その上限を超えて支払ったとしても

その上限までの社会保険料で良いという規定があります。

 

例えば厚生年金の上限は1回の支払いにつき150万円となっています。

1,000万円の賞与を支払ったしても厚生年金の納める金額は150万円での賞与を支払ったとした金額です。

 

この規定を利用し、月額の給料を5万円にし、残りを賞与としてどーんと多く支払うことにより、

社会保険料を減額させようというもの。

 

その社会保険料減額策を年金の減額対策に使用するのです。

年金の減額の際に使われる月額の給料の金額、賞与の金額も上記で記載した上限があります。

月額の給料を低くし、そのぶん賞与をどーんと多く支払い、手取りは変わらず年金も

減額されないように設定するということも考えられます。

 

上記の社会保険料減額対策、年金減額対策に賞与を利用している人もいます。

ただ僕個人としての意見としてはリスクはあると考えています。

 

上記方法は月額給与をできる限り下げ、賞与をどーんと多く支払うというものですが、

その賞与の金額を適正だと説明することができるかどうかです。

給料が毎月10万円しかないのに、賞与を1,000万円という多額の金額を支払うにはどのような

根拠がつけられるのでしょうか。

ただ手続き上、支払うだけであれば株主総会等で決議し、税務上役員の賞与の届出を

提出すれば良いです。

 

しかしその金額に設定するのには根拠が必要です。

税務調査において月額給料50万円で、賞与が150万円ならそこまでおかしな数字ではないので

根拠は求められないと思いますが、月額給料10万円で賞与1,000万円なら根拠は求められます。

その根拠が具体的ではないと税務調査上もめます。

(これという答えがないので否認される根拠もないので余計にもめそうです)

 

なので税理士としての立場としては積極的にその社会保険料減額対策、

年金減額対策を採用しにくいです。

(お客様がどうしても、ということでしたら行いますが、、、根拠は必ず作ってもらいます)

 

僕の一意見としては現役の際は年金のことを考慮せず、働いたぶんだけ相応の給料をもらい、

引退したら大手を振って年金をもらうことをオススメします。

(年金の減額されない金額だけ給料をもらうということだと手取りがすごく少なることも多いです)

 

【編集後記】

あと一週間くらいで税理士試験の合格発表ですね。

受験生の際は12月になるとそわそわしていてたまに勉強が手につかないことも。

合格した際は嬉しさもありましたが、

これ以上受験勉強しなくていいだ!

という気持ちの方が強かったです笑

 

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